第二十一北洋丸
地域名:北海道斜里町
▲知床の大自然に恵まれた斜里町で操業する第二十一北洋丸。知床の漁獲高は減少傾向だが、その中でも研究を重ねて高い漁獲高を誇る。
海で生きるから、海を尊び、護る。伝統的で型破り。斜里の漁師達の熱き想い
斜里町で漁業を営む第二十一北洋丸は、主に鮭や鱒を獲っている漁師だ。乗組員は年齢層が若く、人手不足が漁師界でも叫ばれる昨今、元気いっぱい働く若い社員が多いことに驚いてしまう。そんな乗組員達を率いる代表の伊藤正吉さんは、とにかく型破りだ。
「地元の魚がブランドになってくれれば斜里に人が食べに来てくれると思う」と考え、ブランド桜鱒「知床桜鱗(しれとこおうりん)」を自ら立ち上げ、天然の桜鱒を独自の厳しい品質基準を設けブランド化するという他に真似できない価値づくりを行った。そこには自らが捕る魚への並々ならぬプライドと、地元斜里への熱い想いが詰まっていた。
伝統的で型破り。斜里の漁師達の熱き想い
伊藤さんはとにかく型破りだ。
漁師の労働環境を良くするべく年功序列のない組織を作ったり、SNSを通じて自分たちの活動を全国に発信し多くのフォロワーを抱え、漁師自ら海洋ごみ拾いを行い、さらに天然桜鱒を単体漁業者でブランド化という前例のない取組も実現した。
これはすべて、「斜里を盛り上げたい」というたった一つの想いが原動力にある。地元である斜里町は、実は鮭の漁獲量日本一でありながら、それが知られていない現状があった。
斜里の魚は自慢。だから斜里をもっと盛り上げたい
伊藤さんは家業を継ぎ漁業を営んでいたが、一時斜里を離れた時期があり、そこで地元の魅力に気づき、もっと斜里を知ってもらいたいと考え、全ての活動が始まった。
自分達が地元にプライドを持って仕事が出来るためには、まず自分が動かなければと感じたという。近年では魚価を高めるため、「胃洗浄」という方法で魚の鮮度維持に力を入れたり、加工場を作って全国の消費者に鮭や鱒を届けている。
決して簡単ではない取組みだが、それでも挑戦する理由はただ一つ、斜里の自慢の魚を食べて欲しいという想いだ。その美味しい魚を護るため、稚魚づくりや孵化放流といった海の資源を保護する取り組みも行っている。そんな地元への熱い想いと先人たちへの感謝、そして情熱を持った漁師たちが届ける旬の魚は絶品だ。ぜひ斜里への想いを馳せながら味わって欲しい。
鮭の漁獲高が日本一!『斜里の鮭』は味が濃い
北海道の東端にある斜里町は、18年連続で鮭の漁獲高日本一を誇る有数の「鮭のまち」である。しかしながら、実はその事はあまり世間に知られていない。
知床の豊かで厳しい自然で育った鮭は、味が濃くて旨味があり身質も良い。第二十一北洋丸では、そんな斜里の鮭の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいと考え、鮮度維持に力を入れている。特に、魚体が立派な鮭は「船上活〆」を行った後に「胃洗浄」という特殊な器具を用いて胃の内容物の除去し、鮮度が低下する要因を徹底的に取り除く処理を施す。
手間の掛かる工程ではあるが、こうすることで極めて鮮度の良い状態をキープし、新鮮で美味しい鮭を消費者に届けることができるのだ。
恐らく胃洗浄処理を行う鮭は非常に珍しく、貴重な存在と言えるだろう。実際に生の鮭を調理して食してみると、臭みが全く無く、食感は鶏肉のようで、大げさではなく鮭の概念を覆すほどのインパクトがある。
「鮭漁獲量日本一の町」斜里町で作られた北洋丸の鮭は、道内外の飲食店やふるさと納税にて取り扱われ、人気を呼んでいる。
記事の内容は取材当時のものです(2023年10月)。